えごま油は身体にいいとの情報はよく聞きますが、どうしてなのか。
きちんとした理由はよくわかならないまま、その成分「オメガ3」や「α-リノレイン酸」
の含有量などを誇張した説明をよく見ます。
今回は、油脂栄養学という観点からバランスが大切という内容をお伝えしたいと思います。
少し長文ですが、健康のために良かったら読んでください。
オメガ3とオメガ6。えごま油、亜麻仁油をはじめとするオメガ3は何となく体に良いイメージ。
一方、オメガ6はどうでしょうか...
オメガ6も優れた油ですが、少し曲者で取り方によっては問題を引き起こすのが実際です。
オメガ6は私たちが日ごろ料理などに使うサラダ油(大豆油、コーン油)に多く含まれています。
オメガ3と同様に全身の細胞膜の材料にもなる体に欠かせない油です。
最近の研究でオメガ6も体内で大切な働きをしていることが明らかになってきました。
それはウイルスや病原菌から体を守る役割です。例えば細菌が体内に入ると、悪者と戦う白血球と触れることで
攻撃指令を出し体内の防衛作用を生むのがオメガ6の仕事。言わば、体を守る防衛隊長。
オメガ6は揚げ物などによく使うサラダ油のほかに鶏肉豚肉牛肉の脂にも多く含まれています。
とても身近な油と言えます。ところが、オメガ6が体内で増えすぎると大問題を引き起こします。
オメガ6が体内で増えると、白血球も過剰となりその攻撃指令が暴走。敵ではない自分の体の細胞までも攻撃してしまう。
そんな時に役に立つのが兄のオメガ3。弟のオメガ6の攻撃指令にブレーキをかけ白血球の暴走を鎮める働きをしている。
アクセルのオメガ6,ブレーキのオメガ3この二つが常に良いバランスを保っていること私たちの健康にとって重要。
もしこのバランスが崩れると命にもかかわることが明らかになってきました。福岡県久山町の統計調査(40歳以上の3000人)
心臓病リスクとオメガバランスについてというものが実施されました。オメガ3:オメガ6=1:1~2では 低いものの
オメガ3:オメガ6=1:4では2倍以上となりました。
つまりオメガ3が一人で抑えられるオメガ6は2人まで、それ以上増えると白血球の暴走を止められずじわじわと体を痛めてしまう。
ここで問題となるのが日ごろ私たちが口にする食事のほとんどにオメガ6がたくさん含まれているという現実です。
その結果、現代人は身体の中のオメガ6が過剰に。すると白血球に誤って血管の壁まで攻撃させ知らぬ間に動脈硬化を進めてしまう。
今や日本人の4人に1人が動脈硬化がもとで心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こし命を落としています。
その裏側にはオメガ3と6のバランスの崩壊が潜んでいるということです。
オメガ6からできる物質(アナンダマイド)が脳内に興奮作用(もっと食べたいという欲求)をもたらすということが研究でわかっていて
揚げ物などが美味しくてつい食べてしまうの理由。
みなさんの普段の食事はいかがですか?オメガ6をたくさん摂取していませんか。
最近の研究で欧米型の食事を多くとっている10代から20代の日本人のオメガ3と6のバランスは
1:10にまでなっている研究報告があります。
えごま油が体に良いとされる大きな理由は、現代の食生活で乱れたオメガバランスを補正し
体内の自己防衛システムを正常に機能させるということです。
その他にも、体内で重要な働きをしている理由がありますので、今後少しずつお知らせしてまいります。
食用油は”学んで” ”選んで” ”摂取する”。健康を謳った広告だけでは選ばないでください。
参考;NHKスペシャル食の起源